/挑人/

江崎グリコ

相川 昌也
/Masaya Aiwaka/

オフィスグリコ : 江崎グリコ /Profile/
中央大学経済学部卒業。学生時代は、射撃部に所属し全日本団体で主将として完全優勝を果たす。そのときの『信じてやる』という気概が今回のプロジェクトに活きていると語る。
「勝つときは必ず理由がある。だから勝つ根拠を創るのだ。」

開発商品

オフィスグリコ

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STORY
/挑人ストーリー/

メーカーとしてやらなくてはならないこと。

課題
97年当時、スーパー・コンビニだけではなく、ホームセンターやドラックストアなど流通チャネルとしては、拡がりをみせていた。スーパーなどで成功していたインストアマーチャンダイジング(小売店内での顧客の購買を高める様々な科学的販売促進の手法)を応用しサービスを提供していた。その時、素朴な疑問がよぎる。「メーカー志向で“グリコの商品”を見えるチャネルにいかに売るかだけでいいのか。お菓子を手にとって頂いているお客様(消費者)で接点が足りていないところはないのか。本当にこれでいいのか。」そんな時、江崎社長が打ち出した「消費者接点を多様化する」という方針が新たなプロジェクトの始まりとなった…。

Chapter1

【市場調査の意外な結果とは。】

まず千差万別・老若男女、約800名の声を頂いた。お菓子の消費シーンだ。すると意外な結果が…。
第一位は、「家庭で7割消費。」まずはうなずける。
驚いたのは第二位だった。なんと「19%がオフィスでの消費」という結果だった。
二位は間違いなく“アウトドア”だと思っていた。まさか“オフィス”があがるとは思わなかった。
『これだ!』
キーワードは、[ホットする気持ち、腹もち、ストレスの低減、リフレッシュメント…]次々に出てきた。

新規事業として『オフィスに対してリフレッシュメントを提供する。』

相川が出した答えはこうだ。
メーカーしてやらなければならないこと。それは顧客志向で物事を考えていくことだと思った。
本気で顧客満足を得ること、それを具現化していくことだと思った。
「この19%の需要を攻めたい。」

Chapter2

【覚悟を求められた瞬間。】

プロジェクトリーダーであった佐藤弘成さん(キスミントの生みの親)と共に役員会にたっていた。
当時の副社長から、『落ち葉拾いをするのか?』と言われた。覚悟を求められた瞬間だ。
当時、相川は28歳。もうすぐ30歳を迎える。節目のときに、安定している自分はいやだった。個人的にも何かやらないと考えていたところだった。

『やります。』迷いはなかった。
佐藤・相川のプロジェクトが発足した。
二人で約束した。「お互いに疑問を持たないでやろう。腹にためずに進んでいこう。」

社長の言葉に勇気づけれれた。“それでええ。やってみなはれ。”

Chapter3

【大阪駅前第一ビルからのスタート】

『オフィスに対してリフレッシュメントを提供する。』
初めは、ヤクルト訪問形式だった。菓子巡回販売テストだ。大阪駅前第一ビルからスタートだった。元気よく挨拶し趣旨伝えた。「いかかですか?」100件、飛び込みで訪問し、60件はOKだった。普通なら大喜びするはずが、2人で頭を抱えた。
「来てもいいよ。」が「来なくてもいいよ。」と聞こえた。空しかった。
リフレッシュの提供だけに、午後には売れるが午前中は全く売れない。職場でお菓子は買えない雰囲気もあった。
ある日2時間、大阪駅前第一ビルの階段でタバコをふかしながら、2人は押し黙った。
『箱置きだ!』「置き薬」ならぬ「置き菓子」だ。
これが[オフィスグリコ提供リフレッシュボックス]誕生の瞬間だった。

Chapter4

【“蛙”に隠された秘密。】

[オフィスグリコ提供リフレッシュボックス]…それは工夫の塊かもしれない。
まずは、代金回収の問題があがった。どのように代金回収したらいいのか。
ヒントは、“無人の野菜売り”にあった。聞けば90%以上の回収率だという。これだ。しかし単純にお金を入れてもらうのではつまらない。遊び心を入れたかった。思いついたのは“蛙”だった。代金回収用の蛙の貯金箱、実は相川が小学2年生だった頃、旧三和銀行にもらった貯金箱。東大阪の金型屋さんを探し回った。
その他にも、販売用のワゴン。突然の雨降りにも対応してたり、とにかく軽い。そしてその場で回転できる工夫もある。相川自ら設計し、4回も変更を加えた。
そして、「お客様に飽きられない工夫が必要。」(相川)というように、商品構成は年間52週分の商品配置計画を作って3回ですべて商品が入れ替わっている。「しかも賞味期限をチェックしながら。」廃棄ロスも抑え利益が出る工夫がされている。

Chapter5

【10年の歳月が流れ……】

“覚悟”を求められてから10年の月日が過ぎていった。
今では、大阪・東京・名古屋・福岡に展開。販売センター51拠点、販売ワゴン約90000台。年商で30億円を超える見込みだ。
販売スタッフも650名を超えている。
【顧客の7割が男性。~新たなマーケットを創った。】といわれる。
相川は、真剣に語る。「結果論に過ぎない。」
事業の企画段階から現在に至るまですべて見ている言葉は重い。
消費者接点を多様化するために、「オフィス」にリフレッシュメントを提供するという一心でやってきた。
2003年4月から他社のせんべいや飴も取り扱っている。オフィスグリコブランドの完全買取方式だ。
全ての意思決定は『顧客志向でやっている。』それが結果的にグリコの企業価値を高めることにも繋がると信じている。

今までの経緯を振り返り、「可能性があり“意志力”があれば行動できる。大事なのは“意志力”である。」と力強く語った。

/プロジェクトの今後/

今後の相川の目標は明確だ。
(1) 全国へエリア展開すること。
(2) 現在お菓子・アイス・飲料だがその他品揃えを強化すること。
(3) お客様視点で他社ともコラボレートすること。

「このビジネスは、×掛け算ではない。全て+足し算だ。だから簡単にはなくなりませんよ。」自信を語った。

もう一つの相川の夢。
災害時など大変なのは最初の3日。「そんな時“ささやか喜び”を提供できれば…。」と、お馴染みビスコやキャラメルの“保存缶”を発売した。
「自治体・病院・警察などにも置いてもらいたい。」と熱く語った。

/会社訪問/

〈写真左〉暖かい笑顔で迎えて頂いたグリコレディの皆様。
〈写真右〉オフィスグリコ統括本部。 グリコ本社とはあえて距離を保つ。

明るい笑顔・元気な挨拶

販売ワゴンを整理している皆様と挨拶。「こんにちわ~!」
大阪中販売センターでお会いできたのは、本当に明るい笑顔・元気な挨拶でした。
相川さんの話とイメージがぴったり。こちらが元気をもらえる環境です。

販売センターには、所狭しと商品が並んでいました。
「広ければ在庫も多くなるし、廃棄も多くなる。だから狭いぐらいが調度いいんですよ。」と相川さん。
「本質は工場のラインと同じなんです。」
なるほど納得。

実は、ここオフィスグリコ統括本部が入居するビル、雑居ビルの一室なんです。
1Fが大阪中販売センターで5Fが本部事務所。
「本社から数十分の距離。事務所を本社内に置かないのですか?」と驚く私。
「自分の財布から出しているイメージがないと。全体で利益がでるまではね。でないと新しいことは育ちませんよ。」

「売れていなかったり、代金回収率が悪いのには必ず理由がある。大抵、自分たちの問題ですよ。」
そんな販売センターは暗いそうです。だから少しでも現場に近いところにいて、組織をフラットにして、コミュニケーションを大切に考えられているのかなと思います。

「歴史ある会社・実績のある会社は堅実に事業展開しているので新しいこと、不確実性が高いことには躊躇する傾向がある。」という思い込みがありましたが、実際にオフィスグリコ本部にお邪魔して『“意志力”がすべてを可能にする』ことを学びました。

追記:
皆様、お忙しいところお邪魔してすみません。
今日も元気でストレスの多い職場にリフレッシュメントを提供して下さい!

Corporate Data/会社概要/

会社名江崎グリコ株式会社
URLhttp://www.glico.co.jp/
設立1929/2/1
代表者江崎勝久
資本金77億7300万円
商品分類生活関連 - 食品
従業員数1,156 名
事業所大阪府大阪市西淀川区歌島4丁目6番5号
お問い合わせ先部長 : 相川 昌也
お問い合わせ電話番号06-4791-7321
お問い合わせFAX番号06-4791-7323
経営理念【企業理念】 「おいしさと健康」
【グリコスピリット】 創る・楽しむ・わくわくさせる
主な事業菓子分野・冷菓分野・食品分野・健康食品分野・新素材分野

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