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/挑人/
三元ラセン管工業
高嶋 博
/Hiroshi Takashima/
/Profile/
1944年長野生まれ。高校卒業後に測量会社に入社。測量会社を共同で立ち上げ、測量士としての経験を積むが、1976年に親類の営む三元ラセン管工業に入社する。現場で技術、経理学校で経理の勉強という生活の中で、84年には副社長、95年には現職に。ITやISOも独学で身につけ、自らが運営するブログも好評を博している。
開発商品
ベローズ
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STORY
/挑人ストーリー/
インターネットは最大の武器-オンリーワン企業への挑戦!
課題
フレキシブルチューブが三元ラセン管工業のもともとの主力事業であり、先代社長の頃は競合他社が少なかったため売れ行きも好調、アセンブリ業者も信頼関係で結ばれていた。その分、営業にかける時間をとらなかったため、競合他社が現れたことによる価格競争、さらに先代社長の突然の訃報という状況が重なり、経営状況が悪化・・・
そんな中、後継者難でベローズを制作していた知人が事業をたたむことになり、その事業を継承。このベローズ事業のさまざまな局面で積極的な行動を起こしていくことが求められた。
Chapter1
【既存事業の成功と不安】
三元ラセン管工業のもともとの主力はフレキシブルチューブ。
水回りにある、自由自在に曲げられる金属製のチューブのことだ。
三元ラセン管工業のフレキシブルチューブはネジ状ではなく一ツ山で、機能性にも優れていたが、高嶋はフレキシブルチューブ主体の経営に不安を抱えていた。
機械を使って量産体制を整える競合他社の出現。
それに伴う価格の低下。
利幅は下がるが、今の体制では量産もできない。
高嶋はどうするべきか、何をするべきかに頭を悩ませていた。
Chapter2
【新たな事業への挑戦】
しかし、ちょうどそんなときに、高嶋にとって転機が現れた。
知人が工場を閉めることとなり、その事業を引き継ぐことになったのだ。
「何かやらないと・・・何か違うものを」
この思いが高嶋を突き動かした。
高嶋が工場とともに引き継いだのが、ベローズの製法だった。
ベローズの技術を獲得し、なんとか生産もできるようになった。
今でこそベローズはDVDに用いられていたり、半導体の中に用いられていたりするが、その当時はどうやって売っていけばいいのか想像もつかなかった。
今まで決まったところに卸していた体制に、「販売」という壁が立ちはだかる。
Chapter3
【競合との競争から強みを見出す-小ロット生産で付加価値をつける】
そんな中、またもや競合他社の存在が目に入ってくる。
競合他社はロボットで生産するため、生産速度が速く、かつ一度に大量に生産できる。
生産効率がいいのだ。
「何か勝つ糸口はないのか。」高嶋は考えた。
そんな時、「小ロットで納めることができないか?」という顧客が存在した。
大量生産をする競合他社では型の問題があり、1,2個では生産しない。
「競合他社が1000個~受注するのに対し、1~100個単位でも積極的に受注すれば…勝機はある。」
独自の工法を持っていた三元ラセン管工業では、1mm単位での調整が可能で、かつ量産はできないが、
多品種で小ロットの生産が可能だった。
「弱みを強みに変えることができる。」挑人、高島は確信した瞬間だった。
「納期も競合他社が通常40日であれば、半分の20日で納めることができれば…」発想が広がっていった。
「よそが目にもくれないことをする、いわばゴミ掃除のようなことをしているんです」と高嶋は謙遜気味に話すが、その目には自信が宿っていた。
Chapter4
【インターネット時代へ-直販体制を加速させる】
高嶋はさらに、2005年からインターネットを活用した販売に踏み出した。
時を同じくして、卸問屋から直販体制に切り替えていった。
顧客は、住宅メーカーから半導体メーカーまで多岐にわたる。
「困っているお客様に対して、小ロットでスピード対応する。そこには競合が存在しない。」
当初は展示会に出展することによる地道な販売を行っていたが、インターネットを活用するようになってから売上は右肩上がりに伸び続けている。
「リアルな関係づくりが必要だ。」
インターネットで受注しても、細かいところの打ち合わせなどは必ずFAXや電話で対応する。
一つの商品をとっても、顔の見える関係=信頼関係を構築することに余念がない。
信頼関係を構築することによって、製造にかかる時間を短縮することができ、それが納期の短縮にもつながることになるのだ。
毎日欠かさず自身のブログを更新し、情報を発信し続ける高嶋。
インターネットの重要性を認識し、そしてうまく活用している。
Chapter5
【オンリーワン企業への道-人づくりから始める】
きれいに整頓された工場。気持ちのいい挨拶。
高嶋は社員教育にも力を入れている。
大阪に19人しかいないテクノマスターと呼ばれる技術者が存在する。
資格を取得することも積極的に奨励している。
「誰がどこにいっても対応できる。受付も然りです。」
高嶋自身が勉強に対して熱心だ。
インターネットに関することも、ISO取得に関することも、すべて独学で学んできた。
「必要なものがあれば勉強する」
このような高嶋の飽くなき向上心が、三元ラセン管工業を成長させ続けているのだろう。