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/挑人/
姫路電子
網嶋 重昭
/Shigeaki Amishima/
/Profile/
1937年生まれ。大阪府立大学にて工学部・工作機械を専門とする。当時、理系からは珍しく大手商社、丸紅に就職。数年ののち父の経営する鉄工所に入社後、新たに磁石の事業部を立ち上げ、35歳で独立。以来磁石一筋。日本磁気活水器協会会長。
「現在も週1度は英会話学校に通っている。」と語る。
開発商品
永久磁石
開発商品詳細はこちら
STORY
/挑人ストーリー/
磁石一筋、波乱万丈の道。
課題
大手商社での経験からこれからは磁石の時代だと直感した網嶋。持ち前の度胸と営業力で世界大手の製造メーカーより磁石に関する特許の日本での使用権を獲得する。これを使い業界大手東北金属工業株式会社(現:NECトーキン株式会社)との技術提携を成し遂げ、一事業部を企業化した。その後・・・
Chapter1
【誰もが知るあの商品の裏側で・・・】
身体のこりに効く磁石付きばんそうこう。
・ 首や肩のつぼを刺激する中央が膨らんだ形
・ 肌に直接触れても違和感のない肌触り
・ 美しい見た目
小さな磁石に網嶋の技術が詰まっている。
成分の配合率や研磨方法に研究を重ね現在のものに行き着いた
もう30年にわたって売れ続けているロングセラー商品だ。
この商品が脈々と続く傍では、数々の磁石に関するドラマが生まれていた。
Chapter2
【見つけた!独占市場。[電話機編]】
起業直後、網嶋は電話機に目を付けた。
主流の600型電話機には通話口のスピーカー部分、ベル部分にマグネットが利用されていた。
当時の電話は電電公社(現:NTT)の専売制。
「これを押えることができれば、大きな利益を上げることができる」
網嶋はそう直感した。
事実その通り、大きな利益をもたらし、最盛期には電話機用マグネットで国内および東南アジア向けで70%ものシェアを維持した。
しかし、それは長くは続かなかった。
電電公社の専売制はなくなり、たくさんの業者が参入。
利益が一気に落ち込んだ。
はじめて「会社がつぶれる」と思った瞬間だった。
Chapter3
【新たな事業の柱。そして新たな危機[テレビ用ブラウン管編]】
そんな危機的状況から脱出できたのは網島の直感だった。
ブラウン管に使われる補正用マグネットに進出したのだ。
そのための装置を一気に導入、全国の70%を供給するまでに成長することになる。
そして矢継ぎ早に、韓国の企業と技術提携し、より安価で高品質の商品を輸入できる仕組みを整えた。
さらに実用磁石として当時最も優れていたネオジムマグネットの加工も開始。
飛ぶ鳥を落す勢いであった。
しかし、網嶋に新たな危機が訪れる。
薄型TVの登場でブラウン管の需要が極端に落ち込んだのだ。
またも時代の流れに翻弄された網嶋は苦境に立たされた。
Chapter4
【人生最大の賭け[携帯電話編]】
しかし、時代の流れは網嶋をまだ見捨ててはいなかった・・・
それが携帯電話の登場だ。
携帯電話には多くの磁石が使われている。
通話口のスピーカー、バイブのモーター、カメラのフォーカス部分、スイッチ部分・・・
網嶋は携帯電話業界に参入することを決意した。
そしてそれは功を奏した。
「この決断が経営者人生の中で最も恐怖だった」と網嶋は笑いながら当時を振り返る。
Chapter5
【生き残りの秘訣~そして新たなる挑戦。】
現在、マグネットメーカーは10社ほど。
しかし、ほとんどが大手で、中小は3社のみ。
大手が真似できない小型の高付加価値商品に特化することで生き残りを図っている。
さらに、製造拠点を海外に移している。
現在では、従業員数も国内よりも海外の方が上回るほどだ。
しかし、一部は国内に残している。
高い技術と開発力を保持するために必要だと考えるからだ。
この信念から生まれる“磁石”が引き寄せる“新たな磁石”の可能性は無限大だ。